勉強は「使える」んですよ!

2018年1月22日

Vol.718

 

つばめ学院の関口です。

今日は雪の中、私立高校の受験本番を向かえる子も少なくないようです。

当塾の塾生は「逆境で力を出す」ことは日常茶飯事になっていると思いますので、しっかりと実力を出してきてくれることを確信しています。

 

今日は「考える」という事について書いていきます。

私は塾の先生になる前に経営コンサルタントを5年ほどしていました。今日のブログはその時の経験をもとに、「考える」の現場と学生の勉強について書かせて頂きますね。

 

 

「考える」とは?

なにをもって「考えた」ことになるのか。

これは、コンサル時代の私を苦しめ続けた難問です。

私がコンサル会社に入った20代後半に、最初にうけた研修のエピソードから「考える」を感じて頂ければと思います。

 

これは、社内の研修でも、まだ実践研修に入る前段のガイダンスのような研修の時の話です。

講師はどの現場でも責任のあるポジションを任されている上級コンサルの方です。

 

「まずは”考える”ってことについて感覚をつかんで欲しいんだよね。では、ここにある水。うん。君たちはこのペットボトル入りの水を製造・販売している会社の幹部だとしよう。来年度はこの売上を2倍にしたい。さて、何をする?」

 

入社したばかりの同期と意見が出ます。

 

「まずは広告だよね」

「売らないといけないからね。テレビで広告を打つとか。予算を増やす」

「テレビ広告だけでも良くない?」

「例えば、コンビニの店舗でうまく手にとってもらえるようなポスターを作るとかさ」

「あぁ、分かる!そういう時って、やっぱイメージ広告の方が良いかな?それとも健康効果のようなものを出す?」

「でも、水だぜ。。。そんなに効果って出せんの?」

 

、、、と、講師の方が発現します。

 

「こらこら。君たち、いきなり広告だけを掘り下げたねぇ。まあ、それはそれとして他に考えることはない?まずは、考えるべき事をしっかり全部出して欲しいな。」

「他に、、、ですか?2倍売るんですよね。やっぱり広告じゃないですか?」

「広告が良ければ2倍売れますか?2倍売るために必要なことは、それだけですか?」

 

情けない話ですが、私はこの段階で、講師の言っていることが全く理解できませんでした。

「2倍売らないといけないんだから、広告宣伝をしっかり攻めないとだめだろ。他にってなにを言っているんだ」

と感じていました。

 

その次の発言で、私の考えは一気に崩壊します。

「ところで、2倍売るっていうけど誰が売るの?営業マンが売り込みにいくなら、単純計算をして営業マンを2倍にするのかもしれない。同じく2倍売るためには、2倍作らないといけない。じゃあ、それはどうやって作る?今の設備だけで2倍作れる?作った水はどこに置くの?倉庫は現状で足りる?」

 

一同、無言です。

 

「さらに営業マンを2倍にするって、簡単に言ったけどさ。その教育は誰がする?もちろん、経験のある営業マンが担当することが望ましい。そうすると、そのベテランがある期間は営業に出られなくなるから、全体の売り込みはある時期に落ち込むかもしれない。そこはどう挽回する?」

 

たたみかけるように説明をしてくれた講師は、考えを整理してくれました。

 

「いまのやりとりで私が望んでいることは、1つなんだよね。”考える”が浅いものと深いもの。まずはこれを感じて欲しい。”売上を2倍に”というミッションがあったとして、その答えが広告だけの話で終わるのか、会社全体のオペレーションを意識できているのか。または、そこに時系列的な変化を加味しているのか。それだけで、考えの深さは全く違うよね。」

 

 

知識と抽象化

私なりに、このケースを振り返ってみます。

このようなやりとりが、ビジネスの現場で重要な事は理解もできるし、体験もしています。

それだけではつまらない。

私は、なんとか塾の学びの現場にその有用性を活かしていきたいですから。

 

ポイントは「知識」と「抽象化」です。

 

「知識」というポイントから書きます。

ビジネスの現場で「考える」という場合、「フレームワーク」という言葉が良く使われます。

つまり「考える」ための道具です。

この道具を多く持っておくと、効果的に「考える」ことができます。

 

今回のケースでいくと、会社のオペレーションで分けて考えていくと良かったのだと思います。

オペレーションは、「仕入ー製造ー在庫管理ー販売」の一連の流れと全体に関連のある「会計」「人事」で考えるとだいたい全体は見えると思います。

 

「これで完璧」というわけではなく、「まずはこれをベースに」というときにフレームワークは役立ちますし、これは「知識」です。知っているか、知らないか。

つまりビジネスの現場では、その分野に応じて多くの知識を獲得しなければいけない。

その知識を身に付けるための訓練を、学生は勉強を通じてしていると考えても良いと思います。

逆に言えば、勉強で覚えることが得意な子は、将来、社会に出てからも多くの知識を身につけられる可能性が上がる。という事です。

 

次に「抽象化」です。

個別具体的な事象は忘れて原理を理解して対策を立てるという事ですよね。

営業マンの話しでいけば、「営業の田中さんは優秀だから2〜3人分の成績をあげる」という話はおいておいて、基本的には営業マンの能力を一定として全体でみれば、受注数と営業員の数はある定数を介して比例・または1次関数的(線形)になっているという事でしょう。

 

ここは、目標の販売数に応じて比例の関係で人員を設定するでしょう。

他方、そうでない部分もあるはずです。

ここに出なかった経理さん。

経理業務(これは知識でカバー)は、ぱっとイメージしても線形ではないですよね。

売上を2倍にするから、経理も2倍だ。というのはかなり無理があります。

ここは業務を分析しなければいけない。

線形になるものと、そうでないもの。そう分けたうえでの配置になるはずです。

 

仕入れに関しては、ボリュームディスカウントもあるでしょうから、これまた線形とはいきません。

とはいえ、それほど複雑ではない関数でモデル化できるだろう。という予想は中2の数学くらいまでできれば予想はつきます。

 

そうなってくると、少しずつ深みのある「考え」ができてくるように思えませんか?

そして、その「知識」も「抽象化」も勉強で十分に学べるし、強化できる事なんです。

 

 

勉強が役に立たないというのは

誤解を恐れずバッサリいきます!

「勉強なんて役に立たない」という言う人は「勉強をしなかった」人です。

 

本当に勉強を懸命にやってきた人が、更に高みにチャレンジする場面ではこう考えるはずです。

「勉強をしてきたからこそ、今の自分がある」

「今の自分でもまだまだ勉強が足りない」

 

塾で良く言うのですが、、、

 

「数学なんてどうせ使わないよ」という子は数学ができない

「漢字なんて書けなくても、ITの時代は困らない」という子は漢字が書けない

「勉強ができたところで・・」という子は勉強ができない

 

これは、因果の話ではありません。

私が見てきた「事実」です。ほぼ100%です。

 

勉強はだれでもできるようになります。

 

「できるようになりたい」と努力する子

「できてもどうせ」と諦める子

 

そんな子がいるだけではないでしょうか。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。


入試特訓の休み時間より。

 

入試特訓も終盤をむかえました。一度特訓が始まると、「ピリピリ」と音が聞こえてきそうな程の集中です。

 

その分、休憩時間はリラックスして笑顔が溢れます。