分数は「使える」という話

2018年3月22日

Vol.732

 

つばめ学院の関口です。

 

先日、親子で会話をしている時に、残念ながら愚息が「1/2+1/3」を計算するのにだいぶ時間を要していました。

 

私が「すぐに5/6くらい計算できないと」と指摘すると、不服そうに反論してきた内容が、

 

「分数なんて使わないのに」

 

という意見でした。非常に興味深いので、今日はその事について書こうかと思います。

 

 

分数は使う

「普段の生活では分数なんて使わないよ」

これは小中学生から良く聞くお話です。まあ、整数と小数があれば日常生活には困らない。

 

そう考えている子も多いかもしれません。

そんな子から急に「使わなでしょ!」と突っ込まれた時のために、今日の小話を持っておいて頂ければと思います。

分数が整数・小数と大きく違う点は、1つの数で「比の概念」を持っていることだと思います。

 

この「比の概念」を使えるという事は、ちょっとした知性の差を感じさせるに十分なんです。

まずは、そんなエピソードからご紹介します。

 

 

「比の概念」に知性を感じた

私が東工大の大学院に通っていた時の話です。

友人たちは非常に優秀な人が多く、「育ちの良さ」や「教養の深さ」の違いをよく痛感していました。

 

ある男友達2人といっしょにドライブに行った時の事です。

この2人、大の車好きなんです。

(「工業大学」なので、メカ好きにか事欠かないのです)

 

高速の渋滞情報を見ながら一人が嘆きます。。。

「15分で6kmかよ。。。まいったね。原付き以下だぜ」

もう一人が頷きます。

「この時間はしょーがねーな。しばらくはタラタラドライブを楽しむしかないねぇ」

 

そこで私が口を挟みます。

「え?原付き以下??どういう事なの、それ」

 

2人が一瞬の間をおいて爆笑しました。

「まじかよ?勘弁してくれよ。算数の話だろ、その程度」

 

「15分で6kmってことはさ、時速換算するのに4倍すればいいだけだろ?4☓6=24で、時速24km。原付きの制限速度30km以下ってこと。この渋滞じゃあ、原チャリにも負けるってことだよ。」

 

あっという間に解説をされて驚きました。

比の概念を持ったまま数を考える人は、そういう頭の使い方をしているんだなぁ、と。

そして、目の前の2人はその事をあっという間に理解して共有していたのです。

 

 

小数よりも便利な分数

速度というのはもともと、「単位時間あたりの移動距離」ですから、比の概念を持っていて、分数と非常に相性が良いです。

小数よりも直感的に理解しやすいのですが、慣れていない小中学生は小数を好みます。

 

例えば、、、

 

高速道路を車で運転しているとします。

 

「時速60km(遅いけど)で1分間に進む距離は?」

と聞くと、答えは簡単です。

60km/60分

ですから、1分で1km進みます。

 

では、

 

「時速100kmで1分間に進む距離は?」

となると少し難しくなりますよね?

高速道路で安全運転をしているドライバーは、この程度の速度で走っているのではないでしょうか。

そんな時に「1分後にどこまで進むか」は、カーナビを見て判断するにしても知っておいて損はない情報です。

 

答えは、、、

 

100km/60分=1.666・・・

約1.67kmが1分に進む距離。

 

うん。

どうでしょうか?

 

別に、、、って思いません?私は思います。

小中学生なら答えが出て満足。または、面倒だから計算しない。というところでしょうか。

 

分速1.67kmという情報は、分かったようで分からない。ピンとこない情報だと思うんです。

 

そこで、分数を使いましょう!

 

100km/60分=5/3

 

です。

つまり、分速5/3kmとなります。

これを3倍すれば一気に分かりやすい。

 

「3分で5km進む」

 

 

こう言われたら、運転中でも分かりやすいと思いませんか?

 

時速60kmは、「1分で1km」進む速さ

時速100kmは、「3分で5km」進む速さ

です。

 

高速道路を走りながら、「3分後に5km先、6分後に10km先・・・」と考えればかなりカーナビの情報も使いやすくなるはずです。

 

こういう発想ができるのは、まちがいなく分数だけです。

小数は簡単に「答え」は出ますが、現実的には使いにくい「答え」になっている事があります。

 

身近なエピソードから分数の使い易さを実感してもらえると嬉しいですよね。

 

お子さんは「分数」を使えていますか?

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。