没頭する力

2018年5月17日

Vol.745

 

つばめ学院の関口です。

 

先日、堀江貴文さんと落合陽一さんの共著である「10年後の仕事図鑑」という本を読みました。

今日はその一節をご紹介しようと思います。

 

多くの人は、好きになってから没頭するものだと思いがちだが、現実は違う。他のことを何もかも忘れて、「没頭する」。この境地を経てはじめて、「好き」の感情が芽生えてくるのだ。たとえば、「最初から好きだから、会計の仕事に没頭する」のではない。「会計の仕事に没頭したから、その仕事が好きになる」のだ。

 

 

どちらが先なのか

この順序を多くの子が勘違いしている気がします。

「好きだからやる」

「嫌いだからやらない」

そう思っている子が非常に多いです。

 

ただ、この考え方は明確に間違いなので、ここできっぱりと否定しておきます。

「やるから好きになる」

「やらないから嫌いなまま」

これが正解です。

 

塾の現場で見ていてもはっきりと分かります。

 

英語や数学が「はじめから好き」という子は皆無に近いものです。

やっていく中で、語彙が増えたり、問題が解けたりします。

そういう経験のを通じて「好きかも」という感覚が芽生え、やがて「面白い」に変わっていきます。

 

多くの子にとって中学程度の勉強というのは退屈なものかもしれません。

学問で言えば「下積み」時代ですから。

高校生くらいになって、「英語のwebサイトを読める」や「気になる定理を自力で証明してみた」という経験があると、それが大きな「喜び」や「楽しみ」に変わってくることが多いようです。

 

 

教授の言葉

この事は私が自分で見つけたわけではありません。

むしろ、大学院時代に教授から注意を受けた側でした。

 

私が大学院で放射線の研究をしていた時の担当教授は、非常に若くして実績を出されている方でした。

いつも「なんだか楽しそう」な方でした。

私としては「この先生は本当に研究が好きなのだなぁ」と感じていました。

 

しかし、その先生が言うのです。

「楽しいから頑張る、じゃないんだよ。頑張るから楽しい、んだよ。順序が逆なんだよね、君たちは。もっと、やらなきゃ。楽しくならない。」

 

これは私にとって非常に大きな衝撃でした。

 

 

没頭する力

中高生が勉強を通じて何を身につけるのか。

もちろん一般教養などの知識や技能もあるでしょう。

 

他方、もしかするとこの「没頭する力」もまた身に付けていくものかもしれません。

毎年のように中3の受験期を迎えると、「なんか勉強楽しくなってきたかも」とこぼす生徒がでてきます。

まさにこれは「没頭する力」の片鱗が見えてきたということだと思います。

 

はじめは「問題を解いて確認する」という、限りなく「作業」に近いものばかり。

少しずつ、「自分の頭の中で、いろいろな事が構成できる」ようになる。

また、「問題によって」その構成することが触発される。

 

そういう経験を持つ子に育った生徒は、この先の10年を自由に力強く生きていけるのではないでしょうか。

 

最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。