ラクに暗記をする秘訣

2018年10月16日

Vol.772

 

つばめ学院の関口です。

今日は記憶に関するお話を書きます。

 

突然ですが、次の5つを暗記してみて下さい。

1. 英単語 eptomhp

2. 熟語 油空念

3. 歴史上の人物 セル・モターニカ 三世

4. 数学の公式 u=kn/mr

5. 地名 シドルガハル海岸

 

いかがでしょうか?たった5つなのに、相当に覚えにくいと思いませんか?

ちなみに、上記は全て私がつくった造語です。実在するものは1つもありませんので、ご容赦下さい。

 

 

大きな誤解

塾の教室で生徒たちと話をしていると、大きな誤解があるなぁと感じることがあります。

その1つが記憶の「量」に関する誤解なんです。

 

社会や英語の暗記をする時に、生徒の多くはとにかく「量を少なく」しようと必死になります。

覚える事が減れば減るほど喜びます。

量が多いと覚えにくい

量が少ないと覚えやすい

と勘違いしてしまっています。

 

そんな時に私がアドバイスする事は決まっています。

 

もっと周辺知識をたくさん増やせ!

 

という事です。単純に記憶する量の多い・少ないでは覚えやすさは決まりません。

 

 

 

ポイントは記憶の結びつき

記憶のしやすさは、自分の知識との結びつきの強さで決まります。

冒頭の5つがなぜ覚えにくいのかと言えば、いままでの知識と全く結びつかないからなんです。

 

結びつきのないものは覚えにくいのが我々の脳の仕組みです。

地名や名産品が覚えにくくても、自分が旅行で訪れた土地に関するものは覚えやすい。という経験は誰しもある事だと思います。

 

私がよく教室でする例え話では、

幼稚園児が近くのコンビニで「初めてのお使い」に行くとします。

内容をメモせず、記憶して行ってもらいます。

 

・コーヒー

・少年ジャンプ

・ノート

・卵

 

ただこれだけを記憶させる事は結構大変だと思います。

これを少し変えると、こうなります。

 

・お父さんが飲むコーヒーがないから、お父さんにコーヒー

・お兄ちゃんが読んでる少年ジャンプをお兄ちゃんのために

・お姉ちゃんの算数のノートがなくなちゃったから、お姉ちゃんにノート

・お母さんが今夜、カツ丼を作りたいからお母さんに卵

を買ってきて欲しい。と頼みます。

 

いかがでしょうか。おそらく、ただ羅列するよりは覚え易いと思います。

しかし、実際の情報量は増えています。

情報量が増えたのに覚えやすい。これが結びつきの力なんです。

 

 

教室での出来事より

実際に中1の勉強会であった出来事をベースにお話をしたいと思います。

 

地理の試験勉強で「ヨーロッパ州」の気候について暗記をしていた生徒がいます。

その生徒がゴニョゴニョと苦戦していたのが、

「北大西洋海流と偏西風」

についてです。詳細な説明は割愛しますが、この2つの言葉がどうも入らない様子です。

 

「北大西洋海流(きたたいせいようかいりゅう)だろ?」

「えーっと、キタカイセイヨウ?」

「ちがうよ、北大西洋」

「キタカイ、、、あ、違う。キタタイセイヨウだ!」

 

そこで説明を変えました。

まず、大西洋と太平洋という名前を覚える。そして、その大西洋の北なんだから、北大西洋。

次に地図を見せて説明します。

そもそも、「ヨーロッパ州」ですから。太平洋なんて出てこなくて、ここは大西洋。

その北大西洋に流れる海流だから、北大西洋海流。

 

次は偏西風です。

「偏ってなーんだ?」

「え?ヘン?」

「偏ってのは、偏見とか偏差値とかの偏だろ。意味はかたよるってこと。で、偏西風は西にかたよってて、いっつも西から吹く風だから偏西風って言うんだろ」

 

話した説明自体は大した事ではありません。

お伝えしたい事は記憶のお話です。

 

もしお子さんが「暗記ができない」と嘆いているとしたら。

それは、記憶力が悪いのではなく、言葉を知らないだけなのかもしれません。

または、ただ言葉の羅列とにらめっこをして、力技でなんとかしようとしているだけなのかもしれません。

 

記憶にとって大切な事は既存の知識との結びつきです。

そうだとすれば、結びつく先の「既存の知識」が多い子の方がどんどん楽に暗記をしていても何の不思議もありません。

 

お子さんは暗記で苦戦していませんか?

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。