2019年3月11日
Vol.784
つばめ学院の関口です。
去る3月8日(金)は埼玉県立高校の合格発表でした。
この合格発表をもって、今年度の高校入試が終わります。
8日(金)は朝から教室に待機して、電話や来訪による結果報告を受けます。
一年のうちで、これほど朝から「おめでとう!」を連呼する機会もないですし、私自身が嬉しさを爆発させる日も他にありません。
こんな事を言っていると、他の業界で働いている友人からは
「合格発表の日は1年の苦労が全て報われる日だね」
なんて言われたりします。
でも違うんですよね。全く違います。
10人のうちで1人でも不合格がいれば気分は最悪です。
もちろん、ほとんどの子が合格してくれますから、それは嬉しいです。本当に。
しかしそれ以上に、不合格は悔しいです。
事前に何度も生徒や保護者と面談しています。
試験に向けてのリスクやそれに対する気構えなど、いろいろとお伝えをしたうえで、意思を確認します。
そのうえで「挑戦したい」という気持ちを大切にしていますし、不確定なものを応援する以上は一定のリスクを負うことも分かっています。
それでも、やはり思いが届かなかった時には悔しい。
つばめ学院では受験という機会を「大きな成長機会」にしたいと思っていますので、安易な妥協はおすすめしません。
もちろん無謀な挑戦も黙認することはありません。
そのために、毎年のように「ギリギリの勝負をする子」がいます。
正直にお伝えすれば、ここ数年は「無邪気に喜べる」ような合格発表日の夜を迎えていません。
毎年のように不合格だった子の事を思い出して「いま、何してんのかな・・・」と思いをはせるのが合格発表日の夜です。
前置きが長くなりました。
今日は「不合格だった子は何を得たのか」について書こうと思います。
受験を扱う業界では「合格した子」に注目する事も多いですが、必ずいる「不合格になった子」にも注目する機会があっても良いのではないでしょうか。
実はすでに得ている
受験という業界は「勝負ごと」のようなイメージもあり、「合格すれば万事よし」「不合格はなにもない」と見られがちです。
それは全くの間違いです。
受験生が得るべき大切なものというものは、ほとんど受験の当日より前に手にしています。
「大切なもの」とはなにか。
もちろん、受験生として過ごした日々であり、その結果として得た自信です。
自分自身の弱さと向き合い、最後までそこから逃げずに戦い抜いた先の自信。それこそが最も大きな価値ではないでしょうか。
毎年、私が感じることがあります。
受験当日、試験会場に向かう生徒たちを見ると、例外なく全ての生徒が1年前とは別人になっています。
この事は結果の「合否」とは全く関係ありません。それは何度も繰り返し強調してもなお足りないくらいです。
勝負した君だけが得たもの
結果の合否に関係なく得るものもあれば、別のものもあります。
それは「本当に勝負したもの」だけが得ることのできるものです。
そして私は思います。
「不合格だった子」のほとんどが「本当に勝負した子」だったと。
もちろん理由があります。
埼玉県立高校の全日制普通科の倍率は1.20倍(H31年度)でした。前年度(H30年度)が1.21倍です。
合格率にして約83%です。
妥協さえすればほとんどの子は合格できるんです。
どうしても「合格」にこだわるのであれば、出願先を変えれば良いだけなんです。
でもそれをしなかった子もいるんです。
現場で見ていれば良くわかります。
どうしても「合格」にこだわりたいので、できるだけ安全圏で受験をしたい子は多いです。
もちろん、その方針に異を唱える気は全くありません。
ただ、それと同様に「リスクを負ってでも意思を通したい」という受験もまた素晴らしいです。
「不合格」という言葉の前には、かならず「勝負をした」という事実があります。
勝負を避けた合格はあっても、勝負を避けた不合格はありません。
今回の受験で思いが届かなかった子には、「それでも君は立派に勝負したんだ」と声を大にして伝えたいのです。
もちろん合格は素晴らしい事です。
しかし、「勝負した」という事実の中にある素晴らしさもまた同様であるはずです。
ここから始まる・・・
受験で悔しい思いをした子に必ず伝える事があります。
「過去の出来事は変わらないかもしれない。でもその解釈は未来が変えるんだ。」という事です。
受験の結果は変わりません。
しかしこの悔しさを忘れずに、これからの3年間を頑張ったらどうなるでしょうか。
その先も、そのまた先も頑張り続けたら。
もし、自分の未来が輝かしいものに変わったとしたらどうでしょうか。
「いまの自分があるのは、きっとあの時の不合格があったからなんだよな」
そう思える日がくるのではないでしょうか。
悔しい思いをした子には伝えます。
「いつかきっと、今日の事を笑い話にしような。"あの時は本当につらかった"って、笑いながら振り返る日が必ず来る。そう信じてまた明日からの毎日を過ごしていこう。」
大丈夫
それが笑い話になる事は、数多くの先輩が自らの背中で証明してくれています。
そして君も。未来の受験生に背中で語れる大人になろう。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。