2019年3月30日
Vol.788
つばめ学院の関口です。
今日は「途中式」をうまく活用して計算ミスを減らすことについて書いてみようと思います。
「ちゃんと途中式を書きなさい!」という指導は学校でもご家庭でもよくされているかと思います。
つばめ学院では具体的な理由とともに生徒に話をしていますので、今回のブログではその点を掘り下げます。
途中式が重要な理由
大前提として、途中式はなぜ重要なのでしょうか。
この点を明らかにする事から始めてみます。
私は以下の3点の意味において重要だと考えています。
1.暗算する量を減らすことによって計算の精度を上げる
2.ミスした問題の解析ができるように過程を残す
3.「途中式を書く」という行為に慣れる
1.暗算する量を減らすことによって計算の精度を上げる
これについては、言わずもがなというところです。
暗算で計算をする「量」を減らす事によって、複雑な計算問題であっても「簡単な計算」の集合と捉えなおす事ができます。
計算の精度があがる事は明白ですよね。
しかしながら、それに対する「面倒くさい」という生徒の反論は根強いものがあります。
こちらの対応については後述します。
2.ミスした問題の解析ができるように過程を残す
これは非常に大切な事です。
「計算ミスが多い」という生徒の多くが実は「ミスがどこで起きたか」を認識していません。
途中で符号を間違えたのか、通分で間違えたのか、累乗を間違えたのかetc...
「計算ミスでした」
「なるほど。具体的にはどこがどうなっていれば良かった?」
「え?そこまでは見ていないですけど」
こういうケースは非常に多いです。つばめ学院では日常的に、計算を間違えた場合は「どこで間違えたのか」をチェックしてもらいます。
しかし、そのためには過程が残っていないとチェックができないですよね。
チェックができないということは、改善もできないということです。
3.「途中式を書く」という行為に慣れる
実はすごく大切な観点なんです。
「途中式の書き方」にも細かい工夫やコツがあります。
これはある程度の経験をもとに自分のパターンができていくのですが、そもそも書く習慣のない子に無理やり書かせても、的外れな式をだらだらと書いてしまいます。
「正しく、効果的な途中式」を書くためには、練習も必要です。
書いた式が非効率だったりする場合は、一言だけアドバイスすればすぐに良くなります。
習慣さえあれば、効率化は簡単なんですね。
(そういうアドバイスをもらえる環境さえあれば)
「時間がかかって面倒だ」という誤解
途中式を書くと時間がかかって嫌だ。という子もいるかもしれません。
ただ、これは完全に誤解です。
途中式を書きながら計算するという事は計算の速度を落とさないどころか、場合によっては速くなるケースもあります。
私自身が自分の計算で実測もしていますので、間違いありません。
ちなみに、私が手元にあったテキストでまとまった量の計算をやってみた結果は以下の通りでした。
途中式あり 2分49秒68
途中式なし 2分49秒01
できるだけ自然に計算をしたのですが、どちも1秒も差がでませんでした。
もう少し細かく説明しますね。
途中式を書きながら計算をする場合というのは、計算をしている間はずっと式を書いています。
逆にいえばペンが止まる時間はほとんどありません。
式から次の式に移動する間にやるべき計算量は少ないですから、ほとんど反射的に解けます。
途中式を書かない場合はどうでしょうか。
頭の中で全ての計算を処理しなければならないですから、当然のようにペンを止めて「計算する」時間が必要です。
この「止まっている時間」というのが、実測してみるとイメージしているよりも長いのです。
結果として、さして速くなるわけでもなく、正解率は大きく下がり、見直しをする過程も残せない。
デメリットしかないんですね。
正しい型を身につける
途中式を書くという行為は一朝一夕でできる事ではありません。
1行目に何を書いて、2行目に何を書いていくか、、、
ここには一定の型があり、問題や人によって変わる部分と変わらない部分が必ずあります。
その点ではスポーツのフォームに似ているのではないでしょうか。
万人に共通する正しい型があり、とはいえ全ての人が全く同じフォームになるわけでもありません。
ただし、「自分の型」が固定されていないと良いパフォーマンスは生まれません。
型には「正しさ」と「安定」が求められるのです。
たかが「途中式」と思うかもしれませんが、そこにもしっかりこだわって指導をしていきたいと常に思っています。
その細かい指導の過程においてのみ、本当に大切な本質が伝わるものだと確信しています。
本質は直接的には伝わりません。
常に間接的に。別の何かを伝えている時に、すっと伝わる瞬間があるはずです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。