お子さんが読書に向かう魔法の言葉

2019年5月7日

vol.792

 

つばめ学院の関口です。

 

ゴールデンウィークも終わり、今日から学校や会社がスタートしたところも多いのではないかと思います。

つばめ学院ではこの連休期間を有効に活用しようと、小学生を対象に「春の読書感想文」を書いてもらっています。

今日はその読書感想文について書きます。

 

 

お子さんに本を読ませる秘訣

「うちの子はなかなか本を読まないんです、、、」

塾ではそんなご相談を良く伺います。

 

つばめ学院では小学生全員に読書感想文を書いてもらっています。

実際にどうやって本に興味を向けるのか?

その点をお伝えします。

 

結論から書いてしまえば、「本について楽しそうに話をする」という点に尽きるのではないかと思っています。

「こんな面白いお話があるんだけど」

と、生徒たちに話をすることで本に対する関心を持ってもらいます。

 

誰かが「面白いよ」というお話に興味がわくのは自然な事ですよね。

そして、その話の内容が具体的であればあるほど、子ども達の関心をひく可能性は高いです。

 

とはいえ、多くのご家庭では小学生が読むような本を読む時間を持てない方もおられると思います。

(もしご自分のお気に入りがあれば、是非ともお子さんにおすすめしてください)

今日はせっかくなので、今回の読書感想文で私が課題図書に指定した2冊をご紹介しようと思います。

 

気に入って頂けたらお子さんにおすすめしてみてください。

 

 

勉強に通じる「ゲド戦記」

今回の読書感想文は「スタジオジブリと魔法の特集」というテーマで、「ゲド戦記」と「魔女の宅急便」を課題図書に指定しました。

 

まずは「ゲド戦記」をご紹介します。

 

今回の課題に指定したのは、「ゲド戦記」の中でも第一巻となる「影との戦い」という作品です。

後の大魔法使いゲドの修行時代から一人前の魔法使いになるまでが描かれています。

 

この作品でゲドが立ち向かう相手は「影」です。

修行時代に禁じられていた魔法を使ったゲドは「影」をこの世界に解放してしまいます。

この時からゲドはこの「影」に追われる事になります。

おそらくこの「影」は自分にとっての欠点であったり、消し去りたい過去であったりします。

ゲドはこの「影」とどう対峙して乗り越えていくのかが、この作品の大きなテーマです。

 

私が個人的に惹かれたのは、「魔法」についてです。

魔法使いは「魔法」を使ってなんでもできるようで、必ずしもそうではありません。

魔法使い達はこの世にあるものの「本物の名前」を知ることで、その対象を自由にコントロールする事ができます。

例えば「風」という一般的な名前の他に、「本物の名前」が風にはあります。その「本物の名前」を魔法使いが知ることで風を自由に操ることができます。

 

したがって、修行中の魔法使い達はある期間を特別な塔にこもって、徹底的に世界のある万物の「本物の名前」を覚えるという修行に費やします。

なんか、すごく勉強に似た感覚を感じませんか?

魔法は使えるようになればいろいろな事ができますが、それを習得するまでにはかなり泥臭い修練が必要になるんです。

 

そんな泥臭い修行を経験する事でゲドも魔法使いとして成長し「影」との戦いに挑みます。

ゲドがどのようにして「影」を超えるのか。そこは是非ともお子さんに読んで頂きたいクライマックスです。

 

 

たった1つの魔法しか使えない魔女「の宅急便」

ゲドは様々な魔法を駆使する魔法使いでした。

次々と魔法を使い分ける姿には憧れる子も多いのではないでしょうか。

 

「魔女の宅急便」の主人公の少女キキはちょっと違います。

このお話に出てくる魔女は長い時間を経た歴史の中で、魔法の多くを失ってしまう少し「すたれた」ような魔女です。

お母さんがキキに教える事のできる魔法はたった2つ。

それでもキキはそのうちの1つしか使いこなす事ができません。

それが「空を飛ぶ」という魔法です。

(もう1つはクシャミの薬をつくる魔法)

 

「魔女の宅急便」のキキは何でもできる魔法使いではありません。

たった1つの魔法を使って、いかに人間の社会にうまく溶け込むかを考えています。

「空を飛ぶ」という魔法使って「宅急便」という職業を見つけて人間に喜んでもらうためにキキが懸命に頑張る姿が面白くも励みになるようなお話です。

 

個性的なお客さんが次々とキキのもとを訪ねてくるドタバタが非常に面白いのですが、なんと言っても最後のキキの「里帰り」のお話がとても私は好きです。

親元を離れて新たな町で「魔女の宅急便」を始めたキキは、1年がたつまで里帰りは許されない決まりになっています。

そして、その1年が経過したキキは喜んで里帰りをしようとして、ふと不安になります。

 

「私はこの1年で本当に成長したんだろうか?」と。

そして、その1年を思い返すようにまわりを見回した時に、実に多くの人に囲まれていることや、新たな町で自分の居場所をしっかりと築けていることに気づきます。

ここまでのお話を1つ1つ読んでくると、とても感慨深く感動する場面になるはずです。

 

 

どちらも私の勝手な思いではありますが、生徒達には概要を伝え、また生徒達が何をどう感じたのかを感想文に書いてもらいます。

ただ読んで書いてもらうだけでは面白くないですよね。

「これ面白いよ。君はどう感じた?」

これが、読書を楽しんでもらう「魔法の言葉」ではないでしょうか。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。