見落とすと怖いその習慣

2019年5月13日

vol.796

 

つばめ学院の関口です。

 

今日はちょっと怖いお話を書きます。

「これを見たら要注意サイン!」というお話です。状態が深刻化する前にお子様のお話を聞いてあげてください。

お子さんは、実はその行動からいろいろなサインを我々に送ってくれているのかもしれません。

 

では本題に入ります。

 

 

汚いノートが改善されない

以前に当塾にいた生徒のお話です。

 

その子はノートの字が乱れていて、特に英語のノートが深刻でした。

英文は常にノートの罫線を無視して斜めにゆがみます。

アルファベットのかき方も乱雑で、場合によってはある文字と次の文字が重なってしまう事もありました。

 

「これじゃあ誰も読めないから、読めるように書き直してよ」

と、何度も書き直しを指示していました。

もちろん書き直しを指示した後のの文字は、ある程度読める状態になります。

 

「毎回、こういう字を書いて欲しいんだよね」

当初は私も単に「字を書くのが乱暴だ」という程度の認識でした。

 

ある日の授業中に、その子が文字を書く様子を観察して驚きました。

字が乱暴なのは「意識」の問題ではなく、その「書き方」に原因があったんです。

 

 

文字だけの問題ではない

なんとその子はノートをほとんど見ることなく文字を書いていたのです。

 

どういうことかと言うと、

まず普通にノートに問題番号を書きます。

そして、問題に書いてある英文をノートに写す時にはずっと「テキスト」を見続けています。

ノートは見ないのです。ずっとテキストの英文を見ながら書きます。

 

理由は単純です。

「英単語のスペルを記憶する事が苦痛」だからです。

例えば、

There is a book on the desk.

という文章があったとします。

 

普通の場合は、

・テキストの"There"を記憶する

・視線をノートに移して、"There"を書く

・テキストに戻って"is"を記憶

・視線をノートに移して・・・(以下、同様)

という作業をします。慣れてくれば、"There is a book"くらいまで記憶して一度の作業にすることもできます。

英語が得意な子であれば、この程度の文章は1回で移してしまうかもしれません。

 

しかし、視線をテキストから移さないとどうでしょうか。

"T-h-e-r-e i-s a b-o-o-k"という感じで、一文字一文字を「見ながら書く」ことができます。

当然、ノートの方は見ていませんので、正確に文字を書けているかどうかは分かりません。

 

それ以上の問題があることはご察しがつくと思います。

この状態で勉強を続けても、いつまでたっても英単語を単語単位で認識できません。

もっと言えば、単語の意味やつづりを覚える事ができず、他の子と同じように同じ勉強をしても効果は著しく下がります。

 

 

一人ひとりを観るところに発見がある

もちろん、この子のようなケースは稀かもしれません。

しかし、それは「気づいていないだけ」という可能性もまた否定できません。

 

数学などで「自分の字が汚くて読み間違える」という事はかなり発生しています。

ただ、発生した事に本人が気づいていないケースがほとんどなだけです。

小中学生が計算を間違えた時に、本気でその「原因を追求する」という事はまずないです。したがって、その事に気づかず「自分の字だから自分は読める」と都合よく解釈しているだけです。

 

お話をもどして、今回のようの英文のケースです。

生徒が問題を解いている時に「視線がどう動いているのか」を教師が確認する事はとても少ないです。

しかし、そうしなければ「分からなかった事」もあるんです。

 

字が汚い、単語が覚えられない、計算ミスが多いetc...

生徒が抱える課題というのは、実はある程度のパターンに集約されます。

ただ、その全てに「何かの意味がある」と考え、原因を予測・検証する。その繰り返しの中で、私自身も驚くような気づきを得ることがあります。

 

その事を教えてくれるのは、いつも教室にいる生徒たちの行動です。

どんなに経験をつんでも気を抜くことなく、「その子にとっての意味」を追求する人間として教室にいたいと思います。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。