2019年6月4日
vol.802
つばめ学院の関口です。
実は先日、MBA(Management Brain Associates)さんのセミナーに参加をしてきました。
非常に内容の充実した素晴らしいセミナーでした。
今日はそのセミナーを聞いたお話、そして思い出した話について書いていければと思います。
ちょっと昔話から
今日は昔話から書きます。
私が塾の仕事を始めたのはそれほど前ではありませんが、それでも今とは業界の事情が違っていました。
私は「少人数の集団指導」という少し変わった形態から塾人のキャリアをスタートさせました。
その時に何をしていたかと言うと、「関口先生、分かりやすい!!」という生徒の声を1つでも多くもらう事でした。
「全部の教科を関口先生に教えて欲しい」
「教えてくれたのが関口先生じゃなかったらと思うとゾッとします」
なんていうのは、もう最高の褒め言葉でした。
そして、私だけでなく、塾という組織もその声を求めていたと思います。
強烈な指摘
私がこんな昔話を思い出したのは、MBAセミナーで小牧聖先生のお話を聞かせて頂いたからなんです。
小牧先生はご自身の塾を「集団指導」から「自立学習」に切り替えたご経験をもとに、このように指摘されました。
「分かりやすい説明に慣れてしまった子は、分かりやすい説明でなければ理解できない子になってしまうのではないだろうか」
このお話には身体が震えるほどの衝撃を受けました。
私がもやもやと感じていたことを見事に言葉で表現されていたからです。
私は独立する前に疑問に思っていた事があります。
例えば10人の生徒を前に授業をしたとします。
この10人が「なるほど!分かった!!」喜んで帰ることはあるんです。それでも10人全員の成績が全て上がることはありませんでした。
全員の成績を上げるために必要な事は、「分かりやすい授業」ではないと確信をしました。
そして、「つばめ学院」を立ち上げると同時に、私は「授業」をすることを辞めました。
自分が「説明」をする時間をなくして、その時間の全てを「生徒を観る」ことに使うと決めました。
そうする事によって、ひとりひとりに必要な異なるアプローチを見定めたいと思いました。
「ひとりひとりに合わせるなら個別指導が良いのでは?」というご意見もあると思います。
その点についても、小牧先生が見事に言葉にされていました。
集団指導と個別指導は「生徒が塾に依存してしまう」点において同じである。と。
有名な先生の「分かりやすい説明」に依存してしまう
と同様に
隣の先生の「親切で丁寧な説明」に依存してしまう事がありえます。
事実として、つばめ学院の講師のほとんどが指導初期に私から注意を受けることがあります。
それが「教えすぎ」「伝えすぎ」です。
多くの講師は真面目なので、「教えていない時間」が価値を生み出していないように感じて、必死に教えてくれます。
それが、生徒の成長を阻害する事もある事を知ってもらう事が、つばめ学院講師のスタートラインです。
こうして勝つ!!
つばめ学院では「教えすぎ」をできるだけ排除しています。
(勉強がすごく苦手な子はその限りではありません)
「先生、この問題が分からないんですけど、、、」
「うん。なるほど。どこまで分かった?」
「最初から全然分からない。」
「じゃあ、解答解説は読んだ?」
「いえ、それはまだ読んでません。」
「まず解答を読まないとね。俺は解答読み上げマシーンじゃないから^^。君が全力を出して、それでも分からない時は遠慮なくなんでも聞いてよ。今はまだやれる事があるよね。」
そんなやりとりをしています。
そんな子が半年もすると驚くほど変わります。
「先生、この数学の問題なんですけど、、、」
「どうした?」
「この解答の2行目と3行目、、、なんでこうなるのかが分からないんです。」
「うん。その先は大丈夫なの?」
「はい。それは大丈夫です。3行目以降は全部理解できました。2行目から3行目に移るところが分からなくて、、、」
「あー確かに。ちょっと式変形を省略してるね、、、これは・・・」
こんなやりとりの後の説明は、どんなに高度な数学であってもものの数分で終わってしまいます。
質問の精度が非常に高いからです。
こういう生徒がなぜ、受験で勝てるのか。
受験の後半では、ハイレベルの問題をたくさん解いてもらうことになります。
そんな時に「先生に教えてもらわないと分からない」と言っているようでは、いつまでも量をこなす事ができません。
自分で解いて、分からなければ自分で理解して、どんどん進むことができれば実力が加速度的に向上します。
「分かりやすい説明」
や
「親切で優しい先生」
に依存してしまった子達を、どんどん追い抜いていく事になんの不思議もありません。
そうなるように、日々の「不親切な「指導があるんです。
自らの意志で走り出した生徒の成長スピードは見ているだけでも爽快です。
それ以上に走っている本人はもっと爽快なはずです。
自分の足で走る生徒を増やしていきたいと思っています。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。