途中式を書かせています

2020年1月18日

vol.824

 

つばめ学院の関口です。

 

今日は昨日の授業前のお話で生徒に伝えた話をブログでも書こうかと思います。

小中学生にとって「永遠のテーマ」ともいえる途中式のお話です。

 

ま、はっきり言って「書かない子」が多いですよね。。。

これは習慣や癖の領域なので、「書く必然性を伝える」と並行して「細かく指摘し続ける」という事が必要になります。

こういう、いちいち注意しないといけない事は、実は塾の得意分野です。

ご家庭でお家の方が言うよりも、生徒への浸透が良いですね。「他人から言われた方が良いこと」の一つでしょう。

 

 

さっそく問題のノートを発見

中学の先取り学習を冬期講習から始めてくれている、小6のKくん。

そのテキストに、さっそく問題の記述を見つけました。

 

累乗の計算をするのに、途中式が一切なしで答えだけを書いて間違えまくっています。

(写真は本人のノートではなく、私が書いた説明のメモです)

 

「うお!途中式を書かないで間違えるなんて、、、これは一番カッコ悪いやつだぞ」

「え?でもこれに途中式なんてなくない?」

そう。途中式を書かない子の多くに共通する点は、「何を書けば良いか知らない」ということなんです。

 

「うーん、、、じゃあ、今から正しい途中式を書くから必ず次から書いてね。」

・・・写真のメモを書いて説明します。

 

「えー!こんなの面倒くさい」

「でも、間違えてるじゃん。書かないのは面倒くさくないかもしれないけど、間違えたらやった意味がないと思わない?」

「そうだけど、次は気をつけて計算する」

「じゃあ、3の3乗はいくつ?」

「9」

「はい、だめー!ちゃんと書いてねー」

 

 

意味も伝える

とは言え無条件に「書け」と押し付けるだけでは可愛そうですよね。

授業の時間内で、できるだけその意義についてもお話するようにしています。

 

今回の例で言うならば、累乗計算がどういうものかを理解する事が単元の目標になります。

別の言い方をするならば、その計算過程を脳に理解させるということです。

(-3)の2乗がでてきたら、

(-3)☓(-3)

と書くことで、視覚情報が脳に伝わります。

何度も繰り返すことで、累乗の記号と掛け算の式がつながります。

 

累乗計算を理解させるということは、上記の「つながり」をつくることです。

ですので、何度も書いて視覚的に脳にうったえる事は非常に理にかなった方法です。

無理に暗算しても効率が悪いだけなんです。

 

途中式を書けば10回で理解できることが、書かないために20回問題を解いても定着しない。

そういう事は教室の現場では良く目にすることなんです。

もしかすると、このお話を読んで心当たりを感じる方もおられるのではないでしょうか?

 

 

それでも書かない・・・

最初に書きました。

「永遠のテーマ」とも言える・・・と。

 

「途中式を書くんだよ」としっかり伝え、

「途中式を書く意義」をしっかりと伝え、

「わかりました」とはっきり応えを確認し、

 

それでも書かない。

はい。5分後には元に戻っていることは日常茶飯事。

 

 

テキストを覗き込みます。

 

答えが違っている計算をさりげなく指差します。

 

「これ、違うんじゃない?」

 

生徒のペンが止まり、確認します。

 

「え?うそ。あ、、、そうだ違った」

 

消しゴムで消して書き直します。(答えのみを)

 

「なんで間違えっちゃったのかな?」と疑問を投げかけます。

 

「え?」いきなりの質問に生徒が少し驚きます。

 

「なんで間違えちゃったのかな?わかるよね?」笑顔でたずねます。

 

「え?あ、うーんと。」生徒の表情に明らかな動揺があらわれます。

 

「わかるよね?」全開の笑顔が更に生徒に近づきます。

 

「と、途中式を書かないから?」(身体を引きつつ・・・)

 

「正解!!そうだよね!さっき、一緒にそれ確認したもんね。書こうね、途中式。」

 

 

数分後に戻ってきた時には、生徒のテキストにはしっかり途中式が書かれていました。

「今日は完璧な計算のやり方を身に付けたな。大きな財産になるぞ。」

と、小声でささやきます。

 

 

生徒の学力が向上するというのは、きっとこういう瞬間の積み重ねなんだと思います。

教育が情報伝達だけならば、AIにまかせておけば十分です。

しかし、そうでない、「分かってるくせにやらん奴」が多い程、人の介入が必要です。

だから教育は面白いのだとも思います。

 

仕事が楽じゃあ、面白くない。