中学生の保護者が知っておくべき大学入試の肝

2020年1月27日

vol.826

 

つばめ学院の関口です。

 

今日は「中学生の親が知っておくべき大学受験の肝」というテーマで一番大切な1つをお伝えします。

去る1月18,19日に最後のセンター試験が終わりました。

それにも関わらず、次年度に実施予定の「共通テスト」をめぐる混乱は収まったとは言い難い状況です。

だからこそ、各種のメディアでは共通テストについての最新情報を報道し、またご家庭においても不安を感じる保護者も多いのではないかと思います。

 

しかし、です。誤解を恐れずに書きます。

いま本当に大切な事は「共通テスト」なんかではない。と私は考えています。

もっとお子さんの受験に決定的な影響を与える変化が、もうすでに起きていて、その事を知らない方がとても多いのです。

(つばめ学院では必死にお伝えしているつもりではありますが、、、)

 

結果として「間違った判断」をしている方も世の中には多くいると思います。

なぜなら、それを「知らない」からです。

 

 

いま大学受験に何が起きているのか?

共通テストなんかよりも大きな変化が大学入試に起きています。

徐々に変化してきている事もあり、なかなかその変化が耳目を集める機会が少ないのです。

 

1つ声を大にしてお伝えしたいことがあります。

もし中学生の保護者の方で、大学を一般入試で受験して見事に合格した経歴をお持ちの方がいたとして、「その時と今の大学入試をとりまく環境は全く違う」という事実をお伝えします。

つまり、私を含めかつての大学受験を経験した大人の「勝ちパターン」では今は勝てません。

 

以下は具体的な変化を書いていきます。

大きくは2点の変化があります。

 

1点目の変化は「推薦系入試」の増加です。

 

記事からの引用を記載します。

"私立大学全体では、一般入試の合格者は入学者全体の半数にも満たない。文部科学省の「平成30年度国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、昨年は私立大学入学者のうち、一般入試を利用した人の割合が47%。つまり、入学者の5割超は推薦入試やAO入試で合格しているのだ。"

私大入試の難化の一因…?指定校推薦の「語られざる問題」(2019/4/21)より

 

私が大学受験をした1996年当時に「推薦入学」をする友人は小数でした。

大学受験=一般入試の印象だったのは、私だけではなく多くの保護者の方も同様ではないでしょうか。

 

ポイントはこうです。

今の私立大学に入学する生徒は「一般入試」の方が少数派になっています。とはいえ、推薦系と一般で半々といったところです。私立大学で入学を許可される人数の半分以下しか、一般入試には割り当てられていないのです。

かつては「高校の1年、2年は全く勉強せず部活ばっかりだったけど、3年で一念発起して逆転合格!」といった成功体験が多かったのですが、今はこの形がとりにくいのです。

なぜなら、合格者の半数を占める推薦系の入試では、高校3年間の「評定平均」が多く使われているからです。「全く勉強なんてしなかった時期」があることは大きなマイナスになります。

 

2点目の変化をお伝えします。

 

ここ数年で起きた私立大学の合格定員厳格化の流れです。

詳述は避けますが、文科省からの要請により私大が合格者の数を減らしています。

数年前のように、募集定員を大幅に上回るような合格者を出すことができなくなりました。

その結果として、ここ数年では私立大学の「難化」が起きています。

単純に言えば、どの大学も倍率が上がって、合格しにくい状況に変わってきているということです。

もちろん、これは「私立一般入試」に限ったお話です。

 

これまでの2点をまとめると、次のような事が言えます。

1つめのポイントでは、一般入試の「枠」が減ってきている。2つめのポイントでもその「枠」がさらに減ってきている。

私大の一般入試での競争は確実に激化しています。

 

 

どういう戦略が有効なのか

ここまで、私大一般入試に対して大変そうなことばかり書いてしまいました。

「なんとか一般を避けて」と考える方も多いかもしれませんが、一概にそうだとも思いません。

 

大切なことは「自分で選択できる状況をつくる」という事です。

 

高校1年の頃から志望する大学が明確になっていることが望ましいですが、2年生の後半になってからやっと意識しだすと言う子もいると思います。

その高校2年の段階で「評定平均(学校の成績)」をしっかりとっているか否か、重要です。もし高校の1-2年の期間で勉強をさぼっていた場合には、指定校推薦や公募推薦という選択肢が消えます。

先のお話で言えば、合格者数の半分をしめていた推薦を「選べない」のです。強制的に残りの「半分弱」の枠を取り合う一般試験で勝負する以外の方法がないのです。

 

もし、高校2年までに学校の成績がとれていればどうでしょうか。

「指定校推薦だと△△大学が狙えそう、一般試験では○○大学にもチャレンジしたい」

そういう選択を自分で決めることができます。

 

自ら選んで一般入試に臨む子と、選択肢がなく一般入試の臨む子で、モチベーションも学力も違うことは明白です。

 

この意味においても、かつての「一発逆転戦略」は現在の入試環境においては圧倒的に不利な立場に追い込まれているんです。

 

 

 

どうしなければいけないのか

長いお話がやっと終わります。

 

私が最もお伝えしたい具体的なお話は、

「もしいま中学生の保護者の方で、信頼できる塾にお子さんを預けているのであれば。"高校受験が終わったから"という理由で塾を辞めてしまうのは最大の悪手。」ということです。

 

いまでも多くの方が思っています。

「受験が終わった高1くらいは、好きなことをやらせて。自分でやりたい事が見えてきたら本人が頑張れば良い。もし勉強をサボったツケがまわってきたら、自分の責任で挽回すればいい。」と。

 

挽回は効かないのに、です。

「無理」とは言わないですが、「相当に不利」な状況にはなります。そして、かつて(保護者の方が高校生だったころ)はそうではなかったという事実が判断を誤らせます。

 

塾の人間として誤解を恐れずに言えば、

高校1年生の指導が一番難しくて大変なんです。高校3年なんてシンプルです。

1年生は新しい環境があり、新しい出会いがあり、部活をやる子も多いです。その中で、せっかく受験期に身に付けた学習習慣を少し軽いレベルで維持することはとても難しいのです。

さすがに「高校受験と同様」の学習習慣は求めません。でも「最低限」はやってもらいたい。その「最低限」が難しいのです。

やれない理由はいくらでもあります。忙しいですから。まわりの友達もそんに「やっている」ようには見えない。

だから難しいし、この時期に適切な学習習慣を身に付けて、高校生活との折り合いをつけ、好成績を維持できてしまえば相当な有利な位置をとることができます。

 

高校3年生はシンプルです。

まわりの友達だって「やる」ようになるし、自分だって「やる」しかないわけですから。

そしてその「やる」の内容については、今は多くの情報源があり、最適なやり方を探すことが個人でも可能です。

 

現代の大学受験においては、

「高校入学後の高1こそが最も重要な鍵をにぎる時期」だということを是非お伝えしたいと思っています。

 

 

ちょっとだけ補足

共通テストとの比較に関してちょっと細くしておきます。

 

共通テストはセンター試験に代わる位置づけですので、センター試験がそうであったように、この試験だけで第一志望の合格が決まる子はほとんどいません。

 

国公立であればあくまで1次試験の位置づけですから、2次試験での点数がとれなければ意味ないです。私大に関していうと、このテストで合格を狙うのはあくまで「滑り止め」とい位置づける大学であって、第一志望の学校は「個別試験」で勝負する子が圧倒的多数です。

 

という意味において、共通テストの影響というのはどこまで言っても限定的です。

簡単に言えば、「そのテストの点数だけでは第一志望に合格できない」からです。

 

しかし、推薦系の割合増加や私大の合格定員の厳格化の影響は、受験生の「第一志望の合格」を直撃します。

まさに「その結果だけで第一志望の合否が決まる」という話です。

影響範囲も「全ての私大+半数以上の国公立」と広範囲にわたります。

 

何度も報道されている「共通テスト」よりもずっと大切なお話です。

知っておかないと判断を誤ります。

 

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。