読解力を上げる本当の方法

2020313

vol.834

 

つばめ学院の関口です。

 

なんとか怒涛の一週間が終わりました。

先週はリモート授業、今週は特別時間割授業とバタバタとした2週間でした。

とはいえ、世の中はもっと大変な状況ですから、塾も塾生の学びを止めないように頑張らないといけないですね。

 

国語力という厄介者

今日のブログでは、「国語力」について書きますね。

その中でも特に「読解力」という言葉は非常にやっかいです。

 

塾の現場でも良くご相談いただくことがあります。

「うちの子は読解力がなくて、、、」というご相談です。

多くの場合は日頃読書をしないことが、読解力が身についていない事の原因だと思われていることが多いです。

 

もちろん、読書量と読解力には明確な相関関係があるのだろうと思います。

しかし、塾でご相談を頂く子の場合は簡単に「読書しましょう」では解決しません。

なにせ、読書するのが嫌いでこうなったわけですから。。。

 

読解力の正体を探る

この「読解力」という言葉は使い慣れた言葉ではありますが、どうもその意味を正確にとらえることが難しい言葉のように思います。

 

「文章に何が書いてあるかを正確に読み取る力」といえばそれらしく聞こえますが、「それなら誰でもできるじゃん」とも思えますし、どうやって強化したら良いかも分かりません。

 

ここで私が今まで現場で分かったことをお伝えしようと思います。

 

それは、

「文章を正確に読む力は知識で解決できる」ということです。

 

知識で読解問題を克服する

以前の授業で実際にあった例をだしてご説明します。その授業で中学生に読んでもらった文章の一部を書きます。

 

~~~~~引用~~~~~

 猿にすれば、簡単な心理の動きに素直にしたがったまでのことだ。心ならずもおべっかを使って餌をもらっていたが、飼主が現れると順位を逆転し、その上誇り高い猿のこと、飼主をバックに威嚇に転じ、高圧的に餌を巻き上げようとの魂胆なのである。御婦人にとっては、「まあいやらしいという侮蔑のことばになろうが、猿にとってはきわめて自然な行為で、何も非難される筋合ではない。

~~~~~引用おわり~~~~~

 

さてこの文章ですが、なかなか読解力ができない生徒に難しそうな言葉の意味を聞いてみました。

すると「分からない」「知らない」の連続でした。その子が全く答えられなかった言葉を塗りつぶして再度引用します。

 

~~~~~引用~~~~~

 猿にすれば、簡単な心理の動きに素直にしたがったまでのことだ。●●●●● ● ● ●を使って餌をもらっていたが、飼主が現れると順位を逆転し、その上誇り高い猿のこと、飼主をバックに● ●に転じ、● ● ●に餌を巻き上げようとの● ●なのである。御婦人にとっては、「まあいやらしいという● ●のことばになろうが、猿にとってはきわめて自然な行為で、何も非難される● ●ではない。

~~~~~引用おわり~~~~~

 

いかがでしょうか。この状態で内容を理解しろと言う方が無理な話ですよね。

この場合は、読み取る力がないのではなく、単純に語彙が少ないと言えます。語彙は知識です。知識は覚えれば増えます。能力ではなく、あくまで知識量の問題で解決できる可能性が高いです。

 

もう一つの「知識」

ここまでのお話で「語彙力不足」が「読解力不足」と言われてしまっている可能性をご理解いただけたと思います。

 

最後にもう一つの「知識」について書きます。

例えばこの文章。動物が人間を順位付けして行動を変えるという話は特に変わった話ではありません。家庭での飼い犬が家族の順位付けをするという話もあります。

もし、その知識を事前に持っていたとしたらどうでしょうか。この文章は語彙力が不足していてもかなり理解できるはずです。おおよその着地点が見えた状態で読んでいますから。

 

このような例は国語だけでなく、英語の読解問題でも良く見られます。

最近であれば「環境問題」に関する文章です。

 

近年問題になっているビニール袋。英語ではplastic bag です。

この人々が便利なビニール袋を多用し、そのゴミが海に流れてしまう。

海亀などの生き物はビニール袋と、好物のクラゲを区別することができずに飲み込んでしまい。最終的に胃の中がビニールに満たされてしまい餓死してしまいます。

 

このお話自体は特に珍しい話でもなく、国語・英語の文章をたくさん読んでいればしょっちゅう出会うトピックです。

このような社会的に関心の高い教養は読解問題を解くうえで圧倒的な有利になります。

このようなお話をご家庭や塾で良く聞いている子が、「なんだか分からないけど、よく読めるようになる」ことにはなんの不思議もありません。

 

お子さんはただ「読解問題が苦手」と言っていませんか?

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。