2020年4月20日
vol.842
つばめ学院の関口です。
いきなりの質問です。
多くの塾の先生が入塾生を見てすぐに「この子の成績は伸びる」判断する子はどんな子でしょうか?
実は私は以前、塾の経営者が集まるセミナーに参加してそんな質問をしたことがあります。
そして、その回答は驚くほどにほとんどが同じになりました。
今日はそんなお話から始めようと思います。
理解力よりも大切なこと
まず答えから先に書きます。
多くの塾の先生たちが「この子は伸びるだろうな」と判断するポイントは「基本動作ができる」という事だそうです。
基本動作と言っているのは、あいさつをすることであったり、塾のルールを確認して守る。忘れ物をしない、遅刻がない、欠席の連絡をきちんとする。そういった細かな行動です。
これは経験則的に考えてもかなり正しいです。
「成績をあげるために家ではどんな事をさせれば良いでしょうか?」
と質問された場合に、
「基本動作をキチンとできるようにしてください」とお答えすることもあるほどです。
塾で「なに」を学ぶのか?
学習塾はお子さんの成績を上げる場所です。
もちろん他にもいろいろとあるとは思いますが、一義的には間違いなく「成績アップ」が塾の使命です。
その「成績アップ」のために必要なことが「基本動作」。はなんだか腑に落ちないという方もいらっしゃいますよね。
一見すると無関係のようにも見えるし、なんとなく関係がありそうな気がする「成績アップ」と「基本動作」。
その共通点は
「誰かに言われたことをその通り受け入れるかどうか」という思考の柔軟性だと私は考えています。
塾で持ち帰って欲しいことは「考え方」であり「技術」なんです。
問題の解説をして納得して帰るだけでは絶対に成績はあがりません。
大切なことは、「どういうプロセスでその結果になったのか」を理解し、自分に取り込むことです。
そしてそれが自分の中で「しっくりくる」まで試してみること。
それこそが成績アップの秘訣であり、勉強に限らず全てに通じる「成長」のポイントではないでしょうか。
そこで「自分のやり方」や「面倒だから」というこだわりがあると、狙うべき効果は著しく下がります。
全てを知った気になる事がアブナイ
実はそう考えると、何をするべきかという事は極めてシンプルなんです。
ただしそれを「やる子」と「やらない子」がいるだけです。
そして基本動作を受け入れている子には「やる子」が多いということです。
そうですよね。
「みんなが気持ちよく過ごせるためにあいさつはキチンとしようね」という言葉に対して、
「わかった」というか、「え?なんでそんな事しないといけないの?」というかで大きな差がでます。
「なんでやらないといけないの?」
「やったらなんか良いことあんの?」
「それ意味なくない?」
こういう言葉を口にする子は確実に増えています。
もちろん、私は頭ごなしに強制をしたり、脅してやらせるような事はしません。
でも、にやつきながらこう言ったりはします。
「俺には分かってるけど、今のお前にはいくら説明したって理解できない事が世の中にはたくさんあるだよ。バーカw」
これは今の社会が抱える病のようなものだと思いますが、、、、
何かを判断する際に「自分はその判断基準をすべて理解している」という勘違いが蔓延している気がします。
小中高生の多くが思っています。
「あいさつをする"意味"を教えてくれれば私は理解できる」と。
無理ですよ。理解できない。
理解できないものに対して「やったほうが良いならやる」のか「面倒だからやらない」のか。
私が生徒に伝えたいことがあります。
自分が全てを分かったような気分で生きる人間ほどつまらないものはない。
私を含めた全ての人間に。「自分には理解できないこと」は必ずある。
その「理解できないこと」がいつか理解できた時に人は思考が深くなり、視野が広がる。
そしてそういう事に幸せ感を感じる人間の方が、きっと幸せが多くなる。と、私は思っています。
「勉強することの面白さ」は確実にあります。
でも多くの子はその「面白さ」を理解できません。
それで良いんです。
「自分にはまだ理解できないものがある」と思うところに知性があります。
「自分のことは自分で全て判断できる」と思う心に知性はありません。
「やる意味が分からない勉強」
それに向かう態度にこそ知性が現れます。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。