2020年7月20日
vol.858
つばめ学院の関口です。
先日(7月10日)、来年度の埼玉県立高校入試の範囲が公開されました。
3月〜4月の休校措置の影響を考慮して、県立高校入試の試験範囲が大きく狭められました。
今日のブログではその影響について書きます。
文句を言ってもはじまらない
まずはじめに、今日の記事の立ち位置を明確にしたいと思います。
この試験範囲が狭められたことについては、かなり否定的な立場から意見を書きます。
とはいえ、「だからダメなんだ!!」といくら声をあげたところで、
学校の授業ができなかったんだから仕方がない
というご意見もあるはずです。
誰も好き好んで試験範囲を狭くしようなんて思っていないはずです。
県内の中学生が同じ条件で試験を受けられるように最大限の配慮をした点も理解しております。
ですので、
ただ批判するのではなく、「どんな事が起こりうるのか」そして「どうかわしていけば良いのか」を冷静にお伝えしたいと思います。
何が起こりうるのか
分かりやすくするために数学を例に書きます。
同様の事が他の教科についても言えるはずです。
具体的に数学では、「円周角・中心角」「三平方の定理」が来年度の試験範囲から外されました。
あくまで「入試の範囲」から外れただけですので、「中学で教えない」と言っているわけではありません。
学校の先生方はぎりぎりまで頑張って授業をして、なんとか中学過程の授業を終わらせようとするはずです。
ただし、上記の範囲は入試には出ません。
もっと言えば「分からなくても高校生にはなれる」ということです。
県立高校入試が差し迫った年度末に、入試には出ない単元を学校の授業でやることになるのは容易に想像できます。
もちろん、この状態が悪いわけではないです。
ただ想像できる可能性として、
入試範囲から削られた単元を理解しきれないまま高校に入る生徒が多くなる、という事です。
本来であれば高校入試の直前期を使って、「円周角」や「三平方の定理」といった単元をしっかりと理解するべき中3生ですが、今年の中3はそれができません。
なんとなく頭では理解できていても、「すぐには手が動かない」という状態の子はたくさんでる可能性があります。
もちろん、「入試に出ないから」とあからさまに手を抜く子もいるかもしれません。。。
この子達が困るのは、当然ながら高校入学後です。
数学では、三角比・三角関数など三平方の定理を基礎に展開される単元は非常に多いです。これらの単元は物理にも応用されます。
三平方の定理を十分に理解できていない場合には、目先の暗記で試験前を乗り切ってしまうので、数学や理科が嫌いになることは今の高校生にも言える話です。
最も大きな問題点を書きます。
なぜこの事が「大きな問題」になるのか。
この現象が起きる場所と時間が極めて局所的な事が問題です。
入試範囲の調整は、休校期間が長かった関東圏と近畿の一部のみで行われます。
もちろん行われるのは今の中3生のみです。来年度以降は通常の試験範囲に戻すはずです。
中学で学習すべき内容がしっかり定着できていない可能性のある生徒が、ごく局所的に、今年だけ発生します。
この事に国単位での対応や支援が行われることはないと思います。
そして、この子達が大学に進学してしまって以降は、「誰が"狭い試験範囲の高校受験"をしたのか」は全く分からなくなってしまします。
全国から関東圏の大学に生徒が集まります。当然ながら誰がどう、といった事は埋もれてしまいます。
どうするべきなのか
試験範囲が縮小された埼玉県下の中3生は危機感を持つべきだと思います。
その影響をゼロに戻すチャンスは「春休み」だと私は考えています。
やはり入試が終わるまでの期間、塾でも学校でも上記の単元は学習します。
しかし、入試に出る単元・出ない単元での温度差が出ることは避けられないかもしれません。
演習量(時間)は明らかに去年より減ります。
その影響をなくすためには、「高校入学前」にしっかりと修正をするべきです。
高校に入ってから困らないように、高校入学前に中学で身につけるべきを身につける。
非常に大切なポイントです。
今年の受験生は本当に大変だと思います。
だからこそ
この子達が将来において不利な条件をかかえたまま社会に出るようなことがあってはならないと思います。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。