今年の中3生は要注意

2020年8月7日

vol.862

 

つばめ学院の関口です。

 

8月最初のブログ更新が7日になってしまいました。

今までに経験したことのない8月を教育の現場では迎えています。和光市内の小中学校は今日がやっと終業式です。

今日はそんな現場での現状についてお伝えできればと思います。

 

 

受検生の「内面」変化に苦戦中

実はいま、とても苦戦している事があります。

それが、受検生の内面の変化です。

 

今年は例年とは全く異なる8月を迎えています。

その中で特に大きな影響を受けているように思えるのが、「(中3)受検生の意識」です。

例年に比べ、中3生の学習進捗はむしろ進んでいます。

休校期間中に塾の授業を集中的に進められた事が大きいです。

 

他方で遅れているのが意識の変化です。

大きな要因は「まだ学校がある」という事だと思います。

もちろん、「学校が悪い」という事ではなく、純粋にスケジュールの問題です。

 

学校の終業式が終わっていないので、生徒の意識の中では「まだ夏休み前」なんです。

ある意味では仕方のない事です。誰かのせいでもないです。

それでも、この状況はマズいと思っています。

日々、教室では中3受験生の危機感を喚起できるように具体的なお話をいろいろとしています。

 

 

例年と何が違うのか

例年の8月上旬がどういう時期にあたるのか。

それをお伝えすると、今の状況の遅れが分かると思います。

 

受験生にとっての8月というのは、すでに夏休みが始まってその生活リズムに慣れたころです。

つまり、学校での受動的な学習ではなく、毎日朝から夜までを主体的に学習に使う生活に慣れたころになります。

おそらくこの時期になると、「授業を受けるだけ」がいかに楽だったかを痛感しているはずなんです。

自分で勉強を進めることの大変さ、そしてその有効性を実感しているのが今の時期です。

 

そして、7月から8月に変わります。

多くの受験生の中では「もう8月?あと1ヶ月しなない!」と焦りが生まれている時期でもあります。

すでに夏の受験勉強をスタートし、さらに加速しようと考える時期が8月の上旬です。

 

しかし、今年の受験生は違います。

多くの子にとっては、「まだ夏休み前」がいまの感覚です。

繰り返しますが、これは誰のせいでもありません。

学校で授業を受けるという、これまでの日々が続いている以上は、その感覚が続くのも自然です。

 

しかし、それで良いとは言えません。

「これからが夏休み」ですが、その夏休みは1ヶ月もありません。

例年であれば、すでに受験モードになっている生徒が「あと1ヶ月しかない」と焦る時期に、まだ受験モードになっていない子の夏休みは1ヶ月もない。これが現状です。

誰のせいでもないですが、それでもこのままではいけない。それが今年の夏です。

 

 

なぜそんななに焦るの?

ここまで読んで頂いて、「なんでそんなに焦るの?」と怪訝に思われる方もいるかと思います。

実際に埼玉県立高校の入試範囲は狭くなりますし、そこまで焦らなくても高校入試に出る範囲の学習は十分に終えられるはずです。

 

、、、だからこそです。

だからこそ、私はとても焦っています。

 

教室でも強調している事があります。

「今年の中3生は、自分のまわりだけを見てはいけない。1年前の中3生、1年後の中3生と比して恥ずかしくない学力をつける必要がある。」

という事です。

意識しなければいけないのは、世代を超えた受験生達なんです。

 

なぜか。

それは、近い将来にその「世代を超えた受験生」と同じ社会に入るからです。

大学に入る時期は現役生と浪人生で違います。

現役志向が強くなっているとはいえ、やはり現役で合格した先に浪人生だった同級生がいる、または自分が浪人して1学年下の現役生と同学年になる。ということは十分にあります。

 

さらに社会人です。

大手一括採用が減ってはいますが、まだまだ日本では「同期入社」で並べられる事が多いはずです。

特に入社後3年程度はその傾向が強いかもしれません。

会社の同期は「入社時期」で決まりますので、大学院卒と学部卒は世代が違いますが「同期」です。

私は大学院卒で新卒入社しましたが、学部卒の同期と全く同じ基準で「同期」という扱いでした。良い悪いは別として、それが一般的な扱いだと思います。

 

その中で、2020年度の中3だけが「できなくて良い」と言えるのでしょうか?

円周角・中心角、三平方の定理、関係代名詞、間接疑問文、公民の経済分野、理科の太陽と惑星

そういった分野を中3でしっかり理解しなくても問題ないと言えるのでしょうか?

 

さらに悪いことに、「2020年度の中3」と書いたのは正確ではありません。

「2020年度に埼玉県の中3だった子」という書き方がより正確です。

他の自治体では入試範囲の変更がない地域もあります。

入試範囲が狭くなれば、その範囲外の単元の理解が浅くなるのは不可避です。なぜなら、そこの「受験勉強」はしないのですから。

 

将来、大学や社会に出た時に、「いまの中3」は必ず他の世代と交わります。

その時に、「誰が・いつ・どこで中3をむかえたか」なんて事を前提に評価されるわけがないんです。

 

だからこそ、「今」が大切です。

「いまの中3」は必ず他の世代の中3と比べてどうなのか、をしっかり意識しておかないと自分が損をします。

先を見据えた、冷静な危機感が大切なのではないでしょうか。

 

お子さんは「まだ夏休み前」だと思っていませんか?

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。