計算とは「型」である

2020年10月10日

vol.865

 

つばめ学院の関口です。

 

今日のテーマは計算問題です。

和光市内の公立中学では中間試験が目前に迫っているという学校も多いかと思います。

そんななかで、数学のポイントの多くはこの「計算」にあるのではないでしょうか。

 

計算問題で間違えてしまうと点数が伸びません。

応用問題が分かっても、途中の計算で間違えてしまうと意味がありません。

 

この記事では、そんな計算にまつわる誤解を解きつつ、より精度の高い計算を手にする方法をお伝えします。

 

 

計算ミスは「ミス」なのか

まず大前提としての考え方です。

よく「計算ミスしちゃいました」という子がいますが、その考え方自体が違っていると思います。

「計算ミス」という言葉の裏には「気をつけてやればできる」という意味が隠れています。

つまり、本当はその計算を正しく解くための理解はできているが、たまたま今回は間違えてしまった。ということでしょう。

 

この考え方の問題点はたった1つです。

それは、

「次から気をつける」

以外の解決方法がない。という点です。

 

これは困ってしまいます。

「次から気をつけてね」

と言ったところで、計算する本人は気をつけて計算しているわけです。

 

簡単な問題では正確に計算ができても、複雑な計算や時間制限の厳しい問題では必ずミスをしてしまうままです。

計算慣れすることはあっても、技術的に進歩することはありません。

 

 

大切な事は「型」を身につけること

計算問題で3割ミスをする子は、問題総数が10題だろうと100題だろうと、3割程度はミスをします。

計算のくせが同じである限り、ミスは一定の確率で起きますし、それは「意識」で大きく変動するものではありません。

 

計算の精度を上げ、正解率を上げるために必要なものは「型」なんです。

精度の良い「型」を知り、その「型」を徹底的に磨き上げることで計算精度は大きく上がります。

 

具体的にその「型」とはなにか?

それが「途中式」なんです。

計算の途中式には一定のルールがあります。そのルールを守りながら計算を進めることでミスの少ない計算を実現できます。

逆に言えば、途中式のルールを持たないまま、いきあたりばったりの計算をしている限り、どんなに注意をしても計算ミスは起きるんです。

 

計算問題にはいろいろなパターンがあります。

その全てのパターンに対して、自分が持つ途中式という「型」を無理なく適応させる練習をするのが計算トレーニングです。

たくさんやれば精度が上がるというのはただの幻想です。

 

 

良い計算トレーニング

ここまで読んでいただけると、良い計算トレーニングというものがどんなものか見えてくると思います。

まず、途中式を書かずに計算トレーニングすることに意味がないことはお分かり頂けると思います。

できた正解には再現性がないから意味がないんです。

 

効率よく計算精度を上げるためのトレーニングのポイントは

1.一定のルールを毎回使う

2.間違えた計算はどこで間違えたか検証する

3.効率を上げるためにどのステップをとばせるか考える

 

1.のルールを毎回使うというのは当然ですよね。

例えば、( )のついた計算問題では、まず( )のない形を書く。

であったり、

移項しながらの計算は行わない

などのルールは毎回の計算で同じにします。途中式は問題によって書いたり書かなかったりするものではありません。

1つの「型」として自分に馴染むまで、何度でもそのルールを使うべきです。

 

2.の検証をしない子は多いのです。

よく生徒に「なんでこの問題は☓だったの?」と聞くと、

「あ、これは計算ミスです」と答える子がいます。

計算問題を間違えた原因を「計算ミス」で済ませて良いなら、全ての計算問題の間違いが「計算ミス」になってしまいます。

移項で符号を間違えた、累乗計算をかけ算にしてしまった、かけ算を間違えた、自分の書いた字を読み違えたetc...

間違えた原因の中に共通項があればしめたものです。それを防ぐような途中式が工夫できます。

また「注意して計算する」としても、「移項時の符号に注意」など具体的で細かい注意の方が効果は大きいはずです。

 

3.は途中式をベースに計算効率をあげる方法です。

最初は1行で1ステップしか進められない計算であっても、慣れてくれば1行で2ステップの処理ができるかもしれません。

そうやって、自信のあるステップを省くことで計算を効率的に進めるようにします。

こう書くと「途中式を書かない方が早いのでは」と考える子もいますが、それは違います。

全てを書かずに計算しようとすると、必ず手が止まります。じっと考える時間が長くなり、結果として時間も精度も失います。

あくまで、全ての処理を頭に描きながら意図的に書く量を減らせることが理想です。

計算が苦手な子に「途中式をしっかり書いてね」と言うと、意味のない行をたくさん書いて「水増し」する子がいますが、これは意味がないですし、おそらく1行で1ステップという処理の意識が低いのだと思います。

 

「計算トレーニングは型の強化である」

という意識をもって取り組んでもらえるだけでも大きな効果があると思います。

計算ミス撲滅のために、是非とも効果的な勉強を進めてもらえればと思います。

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。