コロナ禍がもたらした変化-後編

2021年5月3日

vol.888

 

つばめ学院の関口です。

 

今日のブログは前回の内容の続きです。

気になる方はこちら「コロナ禍がもたらした変化-前編」もチェックしてみてください。

 

後半の今日はポイントを一つに絞ってお話を書きます。

 

 

人がやってはいけない仕事

コロナ禍で教育現場のIT化が加速しました。

そのことのメリット・デメリットはあるかもしれませんが、変化は不可逆です。

以前の状態に戻ることはできません。

 

ITが教育の中に入り込むことで、「ITにできること」と「ITにはできないこと」がはっきりしました。

その点については前回のブログに詳しく書きました。

 

今日はその逆です。

「人間がやってはいけないこと」です。

これまでは「人間がせざるを得なかったこと」もITが代替するようになりました。そして、特定の領域では「人間がやる」よりも遥かに効果の高いものもあります。

以下ではもう少し具体的に書きます。

 

 

基本的な知識の伝達

つばめ学院は本年度から、AIを搭載した新システムを稼働させました。

その中で、はっきりと「人間よりもシステムにやらせるべき」という内容が浮き彫りになってきました。

 

その1つの例が、なんと「勉強を教えること」なんです。

多くの方は「人が勉強を教える」という事の方が良いことで、「システムが教える」ことはやや劣ることと認識されているのではないでしょうか。

 

私も以前はそう考えていた時期がありましたが、今は全くありません。

人とシステムはケースバイケースで役割分担をした方が良いです。

 

例として「基本的な知識伝達」をあげます。

英語の授業で良く使う説明があります。

「疑問詞で聞かれた疑問文は”主語+聞かれた動詞”で答える」

というものがあります。

この文章の中身を説明して、生徒はすぐに言えるくらいに覚えてもらっています。

高校受験をする生徒でも、英語が弱い子はこれが即答できません。

(ちなみに、この"主語+聞かれた動詞"という表現は、単にテストで点数をとるための公式ではなく、私はコミュニケーションの基本だとも思っています。)

 

さて、この「主語+聞かれた動詞」というキーワードですが、どう現場では教えるか。

簡単なことです。出るたびに「疑問詞の疑問文はどう答えるんだっけ?」と全ての生徒に聞きます。

言えたら「そうだね!」

言えなかったら、言えるまで練習

これが絶対に必要です。教える側からしても難しい話ではありません。

 

しかし、「人」にはこれが難しいのです。

システムならば、何度でも「そうだね!」と言わせることができます。何度でも繰り返すことができます。

しかし、「人」はそこが必ず崩れてきます。

講師に上記の教え方を理解させる事は簡単です。しかし、「全て」の生徒に「必ず」同じことを「徹底」させる事は非常に難しいのです。

勉強が得意な講師ほど「こんなこと」とプロセスを省略したくなります。毎回の「そうだね!」という声がけも意味のないことのように感じてしまうんです。だから個人の思いで変更してしまう。結果として基本形が崩れてしまうことになりかねません。

 

生徒の学力を上げる。という事のうちで、「難しいものを理解させる」という事は実はそれほど多くないのです。大切なことは、「当たり前のことを徹底して身につけさせる」ことです。この「当たり前の徹底」がどれだけできるかが、おそらくは塾の教室の強さを決定すると言っても過言ではありません。

 

しかし、その事を「人」がやり続けるという事は実は簡単ではないです。

講師ひとりひとりに、基本的な繰り返しの大切さを理解してもらい、さらに講師自身のモチベーションを維持するため、講師に対する声がけも必要です。

 

そこまでしてやっと、「人」は当たり前を、当たり前と切り捨てずに何度でも繰り返す事ができます。

こんな事は、実は人がやるよりもシステムの方が圧倒的に得意です。

人はそのプロセスに合わない子や、その他のプロセスを担うほうが圧倒的に全体のメリハリが付きます。

 

 

宿題のチェックと最適化

人がやるべきではない事のもう一つの例は、宿題チェックと最適化です。

「宿題チェック」をシステムに任せるというのは誤解あるかもしれません。つばめ学院では、「宿題結果の正解・不正解」の回収はシステムが行います。

宿題の内容をみて、誰がどの問題をどの程度できたかは、システムの方が瞬時に数値化できます。

 

人はむしろその中身の定性的な内容に注力します。

誰が「どう考えたのか」や「どんな字を書いていたのか」などをしっかり見た方が良いです。

宿題をいい加減にやった子の対応も、やはり人が必要です。

 

裏を返せば、それ以外の事はむしろ「人がやるべきではない」と言えます。

人がやれば、見落としやうっかりが発生します。それをゼロにするには大きな労力を伴いますが、システムがそれを代替するエネルギーは限りなくゼロに近いです。

つばめ学院の場合は、宿題結果の入力をしないとその日の学習がスタートしないようにシステムが設定されています。

人はその「内容の適正さ」を見るところから始めれば良いことになります。

 

更に重要なポイントは「宿題の最適化」です。

その子の目標点・その日の正解率・問題を解く時間。そういった要素を複合して毎回の生徒の宿題は最適化されます。

おろらくこれを「人」がやれば、確実にその経験値に依存したものになります。

しかし、システムの場合は全国の生徒のデータをもとに、個人に依存しない経験値が日々更新されます。

 

ここで人がやるべき事は、「その宿題をやる切ることがなぜ大切なのか」を生徒が納得する形で説明することです。(実は毎回の授業でこれをやる事が重要です)

もし固有の事情で宿題をすることが難しいのであれば、その事情をしっかり聞いたうえで調整することも必要でしょう。

表情をみて、もうひと頑張りさせることも「人」の重要な役割です。

 

「指導」であっても「宿題」であっても同じ事が言えます。

ベースとなる基本形を作ることがシステムは非常に得意なんです。しかし、「人」がそれをしようとすると、非常に労力がかかります。

基本形を作り維持することで、人的な労力の全てを使い切ってしまうことも珍しくありません。

 

コロナ禍は「人」とシステムがお互いの得意領域を補いながら、教育の現場が飛躍するチャンスをもたらしたと私は感じています。

今後の教育現場は、もしかすると私達がこれまで見てきたものと違う光景になるかもしれません。しかしその現場は、私達が「大切だ」と考えていることを何よりも大事に扱っている現場になっているはずです。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

 

 

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